家族

2023 突然の一時帰国②

今回は、基本的に全ての家族の病院に付き添った。5日目に付き添って訪れたのは、B総合病院のI先生の診察室。この診察の時間は、後に私の家族にとって最も忘れられない時間となる。

その日は、家族は仕事が、そして私は別の用事があって、診察室で待ち合わせすることになった。私は用事が長引き、診察室に到着した時にはすでに家族と先生が診察室にいた。

日本に到着する前、I先生はあまりコミュニケーションが取れない、と家族から愚痴を聞いていた。そして、10分ほど診察を見学して、このI先生の問題を全て理解した。まず、I先生が必要最低限のことしか家族に尋ねず、患者である家族が会話の主導権を握らないと話自体が進まないということが分かった。だから、家族が病状を説明して、話を進めることにエネルギーを使っているという状況だった。

診察室の後ろに立ちながら、私は今、何を見てるんだろうと思った。お医者さんごっこ?おままごと?先生は、本当に医師免許持ってるんだろうか。(いや、むしろ詐欺師だったらもう少し向き合うのかも?)薬には相性があるし、時期によっても症状が変わることもあり得るのに。患者の数だけ反応があるはずなのに。どうして、目の前の患者のことを知り、自分の持っている知識と照らし合わせて次のステップを考える、そんな当たり前のことができないんだろう。

地元でも専門的に診られる病院は少なく、その限られた状況で、家族は仕事を調整し(これだけでも相当ストレスになる)、絶望的な気持ちの中、なんとか少しでも現状を良くしたいと思って、藁をもつかむ思いでこの診察室に来ている。だけど、I先生は目の前の患者の体調、前回との比較を詳しく知ろうとしない。

何よりも辛かったことは、先生が家族に対して「関心」全く持っていないことだった。この数か月の体調の悪化だって、この先生の診察が原因の一つに違いない。もう本気で医療費を返して欲しい。もちろん利子付きで。

家族が、服用した薬でも中々体調が改善せず、むしろ悪化していることを必死に伝えても、パソコンのモニターを見ながら言ったことは、「薬をちょっと違うのにしましょうか」。

そうじゃないんだよ。それを改善するのがあなたの仕事だから。どうしてダメだったのか。どうして効果が出なかったのか、まで考えてほしい。おままごとじゃないんだ。キッザニアでも行ってくれ。

診察の後、検査をして帰宅することが決まった。検査用の資料を渡す時、独り言のように先生が言った言葉は、「あまり数値は良くなってないと思いますけど」。

だから、数値を良くすることが、あなたの仕事なんだって。そのために時間を調整してきてるんだって!

生まれて初めて、人様に生卵を投げつけたくなった。いや、事前にスーパーで買い物持っていたら、やっていたかもしれない。まるで韓国ドラマ。底なしの不安で、この時間のために仕事も調整して、こんなにひどい対応をされるなんて、と家族の気持ちを想像したら、胸が締め付けられた。それでも、一番心の中で泣いていたのは家族だから、と思って我慢しようとした、その瞬間に診察が終わり、病院の廊下で涙があふれた。病院の廊下で、私の泣き声が静かに響く。家族が横で、逆に驚いている。

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