2023 突然の一時帰国①
2023年3月、10カ月ぶりに日本に一時帰国した。全く予定していなかったこの時期に、急遽フライトを予約した理由は、入院・通院、そして結果的には転院するという緊急事態が発生した実家の家族に、少しでも会いたかったから。今回の東京行きのフライトは、ベルリン発のヘルシンキ経由。-2度のヘルシンキは滑走路に雪があったのに、東京に着いたら季節は春だった。
基本的に、家族の健康は個人のプライバシーに関わるから、SNSなどで晒すことはしたくない。今回、それでも情報を厳選して記録を残そうと決めたのは、遅ればせながら気が付いたから。これまで私が、恥ずかしいくらい何も分かっていなかったことに。
今回の弾丸の一時帰国では、1週間滞在して以下の病院に付き添った。たまたま家族の診察の予定が立て込んでいたこともあり、7日間は、文字通り一瞬で終わった。
・A市立病院
・B総合病院
・C大学病院
・D病院
私は普段服用している薬も一切なくて(正確に言うと、歯を丈夫にするためのミネラルを摂取しているくらい)、歯医者や皮膚科などには通ったことがあるけど、入院とは無縁で生きてきた。もちろん人間だから、どうしても調子の悪い日はある。だけど、生理痛が重い日も、(一切お世辞を言わない)知り合いに「お元気そうね!」と言われるくらいだから、きっと体力がある方なんだと思う。
だから、家族の付き添いで行ったD病院で診察が終わり、待合室で家族と座っていた時「ごめん、今何待ちだっけ?」と聞いてしまい、笑われた。信じられないくらい、私は何も分かってなかった。(答えは、その日の診療のお会計。笑)
それまで、私の家族がずっと病院に通っていて、日常生活に病院と薬局が組み込まれていたのは知っていた。あくまで、知識として。そして今回付き添って初めて知った。入院・通院のストレスは、こんなにも大きいものなのか、と。この生活スタイルだけでこんなにも体力を消耗するのか、と。ある意味、外国生活における異文化よりも衝撃が大きかった。
脳科学的に、人間の脳は自分の意思決定に満足すると、幸福度が高い傾向にあるらしいと聞いたことがあって。初めて聞いた時、なるほどと思った。例えば、書きやすいボールペンを見つけたとか、お洒落なアクセサリーの店を見つけた、くらいのレベルでも、達成感を感じられるから。だけど、入院・通院はその真逆だった。病院の診察、面会が全てにおいて優先される。しかも、命に関わるから重要度が非常に高い。自分の意思ではなく、不可抗力がデフォルトで、その後に日常生活が入る、そんな感じ。
病院関係は書類も多い。薬の説明、明細書、更に診察の時に自分で書くメモ・・・いつ、どこで、どの病院で、何のためにもらった紙か、を確認して家で整理するだけで、あっという間に時間が過ぎていく。薬などは投与の順番なども大切。だから、診察が終わっても気が抜けないし、診察前の準備にも時間が取られる。AIが管理できるシステムがあれば良いのに、と思ったけど、管理するために情報を整理し、入力するだけでもきっと膨大な時間がかかるはず。
私が大学卒業後に新卒で入った会社は、大学受験予備校だった。そこでは「隙間時間にも勉強してね」と生徒に伝える立場だったけど、今回の滞在を例えるなら、医療(通院・入院)が中心となり、その隙間時間に食事をし、家事を行って、と日常生活が組み込まれる、そんな時間の流れ方だった。ひどい言い方をすると、振り回されて一日が終了する。「あ、もう11時!」「え、もう13時?」と何度独り言が出たか分からない。一日が、あっという間に通り過ぎていく。一日を過ごす、というよりもこなす、という言葉に近い24時間。
