韓国2025② 慶州(キョンジュ)
「屋根の無い博物館」と言われる町があると知ったのは、一時帰国の旅程を組んでいる時だった。歴史的な建造物が集まる南部の慶州(キョンジュ)。現地では修学旅行の行き先として定番で、日本でいう京都・奈良のような立ち位置らしい。絶対に行きたいと思った私は、即座にオンニに連絡して、旅程に組み込んだ。


じりじりと照り付ける太陽の下、娘を抱えつつ日傘を片手に向かったのは、瞻星台(チョムソンデ)。そこがまだ昔の新羅の首都だったころ、星の観測を行っていたそうだ。王族の宴が開かれた東宮と月池(トングンクァウォルチ)は、当時の美意識や審美眼が凝縮されているような造りだった。教科書に載っている人も、載っていない人も、池に映った月を見ながら、ここでどんな思いを馳せていたんだろう。1ミリ単位で計算し尽くされた美しい模様と建築を見るだけで、心が躍る。池は、美しさを引き立てている存在になるだなんて、知らなかった。ここ、博物館と形容される慶州で、訪問できた名所は上記の二つ。次来る時は、夜に東宮と月池を訪問して、ホテルは韓屋スタイルにして、他のお寺も訪ねて・・・と、気が付けば次回の旅を頭の中で想像する。


もう一つ楽しみにしていたのが、インスタグラムで見つけたカフェ (아시 アシ)。周りの喧騒が、噓のように忘れられる場所だった。静寂の中、お茶とお菓子を楽しみながら、ゆっくりと時間を過ごす。手作りのお餅は素材の味を生かした美味しさで、至福の時間でした。私には見える、もし韓国に住んでいたら、毎月通う未来が・・・。韓国は、とにかく新陳代謝が早くて、新規のお店が次々と開店するイメージが強いから、この店は何十年、何百年も続いて欲しいな。

パートナーの希望で、昼ご飯は「超」辛いものを食べることに決めていた私達。辛い物が食べられるレストランということでオンニに事前に調べてもらったところ、なんとそのレストランが上記のカフェの横に位置するという奇跡が(日頃の行いが良いからだ!)。店員さんに、「彼は辛いものを食べるために韓国に来たんです」と説明するオンニと、一番辛いレベルを試すパートナーを横目に、マヨネーズや水で辛さを薄めてチビチビ食べる私。もう、彼が満足そうで良かったです。
そうして、私達の日韓旅行は最終日を迎えた。振り返ってみると、まるで神様が手引きをしてくれたように、私達は見ず知らずの人に助けてもらった。船の上と、船を降りた直後に声を掛けてもらった新上五島。釜山では、タクシーでホテルまで行ってもなぜか到達できず焦っていたら、地元の人に話しかけられ、その方がなんとホテルに直接電話をして案内してくれた(番地の表記問題だったことが後で判明)。今回は赤ちゃん連れで、交通機関の移動は大変だったけど、韓国国内では基本的にオンニがアプリを駆使してタクシーを配車してくれ、始終快適に移動することができました。ああ、これがVIP待遇というものか・・・!
それまで、旅の醍醐味は新しい景色を楽しむことだと思っていた。だけど、それ以外にも、自分の好きなことや思考回路を再確認することなんだと思うようになった。2023年も、2025年も、日韓の現地のアーティストが作る雑貨を選ぶ時間が楽しかった。2023年の済州島で購入したクジラの絵も、沖縄で購入した海のモチーフの飾りも、今も私達家族の日常に彩りを添えてくれる。「非日常」の旅の記憶を思い出しながら、「日常」を送ることが好きだということに気が付けたのは、大きな収穫 - そんなことを考えながら、私と娘は羽田空港行きの飛行機に、パートナーはドイツ行きの飛行機に乗り込んだ。


