長崎旅2025 ③
「五島列島、海がすっごく綺麗だよ」
ふとした瞬間に、昔友達が言ったことを思い出すことがある。一時帰国の旅程を練っている時、頭に思い浮かんだのは、大学の友人の言葉だった。そうだ、五島列島に行こう。ただ離島の美しい海を娘に見せたい。というわけで、長崎港からフェリーで90分の新上五島町を旅行先に決めた。

結論から言うと、最高に過酷な旅行となった。まず第一希望である、港からの送迎バスを提供しているホテルの予約ができなかった。今思えば、その時点で過酷な運命は決まっていたのかもしれない。そのため地元のバスを使って移動し、娘とスーツケースを抱えて宿にたどり着いた。滝のように汗をかいた私達が気が付いたことは、宿に洗濯機が無いということ。その前にいた長崎市内のホテルも置いてなかったので、洗濯物はそれなりに溜まっていた。どう考えても、洗濯をしないと回らない。ということで、日傘を差してコインランドリーまで行くことに。そこがなんと宿から徒歩20分。そして、洗濯物を抱えて戻ると、乾かす場所が無いことに気が付いた。仕方なく、部屋の内側でなんとかハンガーを広げて干す。外はこんなにも太陽が照り付けているのに、部屋の中では思うように乾かない・・・!この猛暑の中、洗濯物を満足に干すということもできないという事実に、私は発狂しそうだった。皆さん、夏の日本旅行は洗濯できる場所かどうかをまず最初に確認しましょう。
一方で、私達は幸運だった。宿から歩いて5分の場所にある、蛤浜(はまぐりはま)海水浴場は、透明度が高く、心身ともに浄化されていく。ただ体を浮かせる、それだけで夢みたいに気持ちが良い(洗濯の疲れもここで取る!)。海も綺麗だけど、遠くに山が見えるのが、また良い。娘は生まれて初めての浜辺デビュー。波が怖くて海の中では泣き始めてしまったけれど、浅瀬でぴちゃぴちゃと遊んだり、砂を触って楽しんでいた。3泊4日の滞在で、3回も海に行くことができた贅沢。訪れたのが9月だったこともあり、ほぼ人はいなく、プライベートビーチのように楽しめたことも嬉しかった。もちろん、この海水浴場だけが美しいのではなく、新上五島では川辺を歩いていると、魚が跳ねる音が聞こえたり、ふと目をやるとカニがいたりする。それくらい綺麗な海が「基本」の場所なのだ。長崎市に住んでいたら、もうさくっと毎週のように通ってしまいそう。
3泊4日の滞在中で、2回ずつ訪れたのが、イタリアンレストランとキャンプ村の食堂だった。イタリアンレストランは、たまたま歩いて見つけて訪ねてみたら、なんと島のカツオや蠣をつかったメニューがあり、さらには調味料もこだわり、とんでもなく美味しい所だと分かった。一口食べ始めて感動し、食事を終える頃に、翌日の予約を入れていたのがこのレストラン。特にぶどうジュースが、皮そのものが入って、味もつぶつぶの食感も最高でした。限られた時間の中で、同じ店に行きたいと思えることは、旅行中のささやかな幸せです。

キャンプ村の食堂は、朝ごはんでお世話になった。旅先で、朝から白米と納豆を食べられるって心身ともに安心する。娘は、サンダルで店内を元気に動き回り、スタッフさん達にとっても可愛がってもらい、言われた言葉は「ここに住んじゃいなよ!」。そして、そこで紹介された(正確に言うと手書きのメモを頂いた)のが、新上五島の美味しいうどん屋さんと居酒屋さん。旅先で教えてもらった場所で食事をする、というのも私が好きな旅行の形だ。

旅行する人の数だけ、旅行の楽しみ方はある。私のパートナーは、旅行中はお土産やさんでTシャツとマグカップを必ず手に取っている。後日自宅で並べて、少しずつ使って行くのが好きなのだとか。楽しかったな、という思い出と共に日常を送るって、確かに楽しい。ちなみに、2年前に沖縄を訪れた時にパートナーと自分用に購入したオーガニックコットンのTシャツは、ドイツで何人かにお褒めの言葉をもらった。そのシャツ、かっこいいね、って。しかも「Okinawa Japan」と書かれているから、日本で買ったの?とも良く聞かれた。だから日本の観光業界も、お洒落なTシャツを生産すればいいのになって思う。そうしたら、観光客が着て世界中で広報してくれるから。(パートナーは、職場で社長に「日本のTシャツかっこいいね。I💛NYみたいな、よくあるデザインじゃないのも良い」と言われたらしい。笑)

今、目の前でパートナーが来ているTシャツは五島列島のもの。話しかける度に、あの美味しかったぶどうジュースも、汗だくになって運んだ洗濯物も、その疲れを海で癒したことも思い出す。


